誕生は四半世紀前。日本の消費スタイルを変えたコンビニ
自宅から徒歩5分圏内に、コンビニエンスストアが6件ある。徒歩15分圏内ならば、10件を超す。しかも一方向ではなく、放射線状に点在している。都内では、そんなエリアは少なくない。今や、大手15チェーンだけでも35000店を超える店鋪数。
セブンイレブンは昨年8000店鋪を突破、それに続きローソン、ファミリーマートが健闘しているが、やや飽和状態のこのコンビニ市場では、今や新店鋪の出店ばかりでなく、不採算店の閉鎖も積極的に行われているそうだ。今でこそ私たちの生活に浸透し、『あって便利』ではなく『なくては不便』というほど現代人の生活に密着した存在として成長してきた。
思い起こせば、日本でコンビニという業態が市場にお目見えしたのは、1974年のこと。セブンイレブンの1号店が江東区豊洲に開店したのが日本初。その前年よりスーパー各社でのチェーン設立がはじまり、また一方で岩手の酒類協同組合でもCVS研究部会が設立され、キャメルマートが誕生したという記録がある。(参考 商業界コンビニ)スーパー、酒販店両者の視点からこの業態が誕生したという点は、大変興味深いところである。
さて、この頃といえば筆者は小学5年生。田舎に住んでいたせいか、この時に 通学時にCVSを利用していたという記憶はない。田舎を離れて京都でひとり暮らしを始めた頃、まだまだCVSは少なく、下宿生たちはスーパーを利用していた。今では信じられないが、コンビニのない生活をおくっていたのだ。今思うと、それも大変懐しい時代だ。あの頃学生に人気があったのは24時まで営業しているミニスーパーだった。自分はそこで4年間バイトをしていたのだが、あの店はコンビニの原型であったと思われる。
また7〜8年前頃だと思う。岐阜の実家の前(国道沿い)にコンビニができた。それはナショナルチェーンコンビニではなく、地元のコンビニだった。できた当初、母は「いつも買っているスーパーがいいからコンビニなんかでモノは買わない」と断言し、目の前のコンビニではなく自転車で5分のスーパーで食材を買っていた。それが次第に、牛乳やパンをコンビニで買うようになった。そして、その地域コンビニはいつしか、全国チェーンであるファミリーマートに経営が変わった。その直後、またもや母は「いつも買う商品がないし、地元の人が使っている商品がないからあそこはダメ。前の店の方が良かった」と拒否反応を抱いていたが、今は毎日のように牛乳やヨーグルト、宅急便へと幅広く愛用しており、500メートル離れたところにサークルKができたことで、このファミリーマートの安否を気遣うまでになっている。

「いつも何かある!」を継続して仕掛けるコンビニのパワーとメーカーの努力に脱帽
時間があると、朝、昼、夕方、深夜を問わず、コンビニをぶらつく。1店だけでなく5〜6店回っていると各店の差も見えてきて、大変興味深い。早朝5時。早起き族が牛乳やパンやおにぎりなど朝食を買いにくる。店の中で「おはようございます」なんて挨拶が聞こえてきたら最高なのだが、夜通しバイトに入っている店員さんにはそれはしんどいことかもしれない。場所にもよるが、7〜9時はコンビニ第一弾の繁忙タイム。通勤中、出勤前の人々でごったがえす。ちなみにこの時間の宅急便の受け付けは嫌がられる。そのあと、しばらく客数は落ち着き、ランチタイム前の商品の搬入が始まる。11時半をすぎると13時までが第二弾の繁忙タイム。レジには長い列ができる。お弁当にお茶、サンドイッチとジュースと食後のデザート、カップラーメンにおにぎりのセット・・・。性別や年齢、仕事によっていろんな買い方がされる。その組み合わせを見ているとその人のその日の体調や食欲、嗜好がみえて大変興味深い。コンビニではコンビネーション買いがされている。レストランや食堂ではいわゆる単品買いであるのに比べ、コンビニでは自分の好きなように組み合わせて買えるという利点がある。レジの前で商品をもって並ぶお客さんを見ていると面白い。買ったものを5〜10分後には食しているのだから。お客さんの食卓がそのままみえるのである。
さて、午後の比較的落ち着いた時間を過ぎ、次は下校の学生、自宅へ帰るサラリーマンやOLたちでにぎわう夕方から夜の時間帯。朝や昼よりも時間に余裕があるせいか、雑誌の立ち読みも増え、在留時間が長くなってくる。夜には晩御飯ももちろん売れるが、酒ありコンビニでは酒(これからの季節はビール)におつまみ、またアイスクリームやデザートもよく売れる。深夜になっても残業族や夜眠れない人々のお腹を満たすドリンク、フードが買われていく。
この24時間営業に合わせてか、人々のくらしも随分変わった。日課のようにコンビニへ行く習慣もできた。24時間営業している店が多くなり、ある意味、夜中でも町が明るくなった。女性のひとり歩きも前より安全に思う。(とはいえ、深夜に強盗事件などもあり、店側にとっては安心とはいえない状況ではある)
新商品のテストマーケティングの多くはコンビニで行われる。毎週コンビニの店頭を飾る新商品たち。すべてPOSデータによりその商品の寿命が決まる。しかも新商品は毎週毎週くり返し登場する。コンビニのスーパーバイザーたちのご苦労、またその依頼を受け必死に商品を開発するメーカーのご苦労を思うと本当にこのままの勢いで良いのだろうかと思ってしまう。苦労して開発した商品が瞬間にして消える。商品を育てるという意図とは違う「売り場」なのである。生活者の立場で見れば、「いつも新しい何かがある」「楽しい」存在としてのコンビニはありがたい。しかしその裏側は「作り手」と「売り手」の葛藤もあれば、熾烈という言葉ではいいきれない厳しい闘いがある。最近は、「コンビニで売るような商品は作りたくない」とするメーカーも出てきたようだ。いずれにしても、このサイクルはどこかで方向転換する必要がありそうだ。
ATMもECの窓口もすべてコンビニ。生活に必要な購買、手続きはコンビニで事足りる時代。21世紀はそこが出発点になりそうだ。

勝手に考える21世紀のコンビニは?若者だけでなく、シニア層をもっと大事にしたサービス、品ぞろえも考えて
ある不動産屋さんの話によると、今求められる賃貸マンションやアパートの立地条件はコンビニがすぐ近くに複数あることだそうだ。1店鋪ではいけない。なぜなら、利用者は弁当はセブンとか、デザートはファミマとかモノによってコンビニを使い分けているからだ。まさに我が家の冷蔵庫代わりだ。ますます人々のくらしは便利になり、料理も作らず、結婚もせず・・・・個食化、生活の個人化もすすむ。(これが孤食、孤人にならなければよいが)
さて、21世紀はどうなるのか?現在の20代〜30代の需要はそのまま維持されるにせよ、いずれ人口が減少。その時には60代以上の時間もお金にもゆとりのあるシニア層がメインターゲットになるだろう。その層でも一人暮らしが増えているだろう。そんなシニアたちにとって便利なCVS。すでにampmが行っているデリバリーサービスもそうであるし、セブンが開始した介護ビジネス。それらはこれからのコンビニユーザーを見据えてのサービスである。私が願うのは、本当にシニアの方々の生活をサポートできる店が増えてくれるといい。それは、品ぞろえ、売り場はもちろんであるが、コミュニティーとしての役割においてもである。勝手なイメージ〜レジには60代以上のおじさま、おばさまがいて、お客様と笑顔で会話を交わす。元気な顔を見たくて、毎日何回も足を運んでしまう〜そんなCVSが増えたら素敵である。テンポはきっと速くないだろうから、若いお客さんにとってはいらだちの原因になるか?
いずれにしても、全国に最大の顧客接点をもつコンビニ。利便性の次に、お客様にとっての本当のソフトである「心地よい」をぜひぜひ追求してほしいと思う。さあ、今日の昼ごはんはどこのコンビニにするかな?