家族や夫婦・兄弟など身近な存在では日常生活の中で、とるに足りないことで喧嘩になったりすることはないだろうか? 喧嘩になるのは、相手を自分と同一視するため、「相手がわかってくれない」とか「相手がしてくれない」と思ってしまい、ついつい衝突してしまうことからはじまる。若いということもあるだろう。いいたいことをとことん、ときには言葉だけでは足りないで…真剣にぶつかり合い、時間が解決…なんてことを誰しも経験したのでは。家族など強い絆にある関係での喧嘩は何も問題ない。むしろ、これぐらい濃厚なコミュニケーションのある関係の方が幸せかもしれない。しかし、ちょっと離れた他人だと直接ぶつかるのもパワーがいるし、それは避けたい。「何いってんだろ」「この人ってなんて自分勝手」と思いながらちょっと違うなあと思った時点から会話も減り、視線も合わせなくなったり…。ここから、人間関係が崩れていき…ということはビジネス社会でも多いのではないか。会社組織でうまく業務が遂行しないことの原因のひとつはこの人間関係にもあると思われる。人間関係がうまくいっていると、同じベクトルを向いて目標に向かって無駄なく走れるので、効果も高いのであるが現実にはそれぞれの思惑でうまく進まず、苦労することも多い…。 私自身も、まだまだ人間が出来ておらず、自分の考えや思いが相手のそれと違うと思った時点で 関係温度がサーッと冷めていく一面がある。もちろんその場合も笑顔を忘れず、静かにフェイドアウトしていくよう努めてはいるが…。誰にも優しく、親切にしたい気持ちは大切にしたいけれど、相手と自分の価値観が違う場合にはそうもいかない。また、自分の好意が相手にこちらの意図と違って解釈されるときも関係温度が下降してしまう。この「温度の下降」について、自分自身に対し嫌悪感をもったこともあったが今では違う。人とのコミュニケーション頻度が多ければ多いほど、こんなことは当然あると。だからこそ、出会ったときの温度上昇の場合のみならず下降していくときのことも考え、おつきあいする相手や内容を考えて行動していかねばならないということを学んだ。 普段は調子よく、心地よいコミュニケーションをとれていても、何かそれぞれの局面に関わる事態で解釈や見解が違うと、そこで不信感が一気に募る。昨日まで相手の長所と思っていた点まで反対に見えるので恐ろしい。 では、こうしたディスコミュニケーションを避けるために、相手の局面まで関わらないのもひとつの手。となると、では深いコミュニケーションをしないのがよいということになるがそうとも限らない。いい人間関係には深い密なるコミュニケーションも当然必要であるから。深いコミュニケーションをしないと得られないことも多い。そこはとことん交流してみて、ずっとうまくいけばハッピー、もし衝突したらそのときの話…。いずれにしても、どんな人と関わるときにも「自分と相手は違う」というところからスタートするのがよい。 自分と同じ人は存在しない。だから価値観が違う。それが基本。 と思えば、何があっても腹が立ったり、むかつくことも少なくなる。そして自然と相手の考えや生き方を受け入れ、許すこともできるようになる。そして、どうすればお互いに「いい関係」でいられるかを考える。いい関係とは、近い関係だけではない。人によっては遠く離れるのも一考である。近くにいると許せないことも、遠くで見ていれば応援できることも多い。相手に自分の考え方や意見を主張しても無意味のことがある。相手は違う価値観なのだから。であれば、何もいわず静観しているのがよいときもある。 いずれにしても、人間関係は人と人の「間」の問題。間をうまくとれる人がハッピーな人生を生きられるのではないかと思う。これまでは、まっすぐに一生懸命に能動的に人間関係を作る生き方をしてきた。これは決して間違っていないが、相手によっては冷やしたり、温めたり。離れたり、近づいてみたり…。この調整こそが、大人の人間関係力ではないか…。と思う今日この頃。 日々、多くの出会いがある。すべての出会いにフルパワーで関わり続けることはできない。どこかで「あれ?」と思うことが出てきた場合には、その人との関係をすこし調整をしてみるとよい。但し、そのときの温度の下げ方、距離の作り方は注意を要する。相手に不快感を与えず、自然にそう仕向けていくことが大切だ。 先日、とある研修を引き受け、想定外のリアクションに直面することがあった。公衆の面前で、しかも…瞬間頭の中が真っ白になったが、時間が経てばその人にとってはそうだったんだ。と思えるようになる。もちろんその方の発言自体は尊敬できるものではないが、何百人、何千人の前で話しをしているうちには、こういう反応もある。ということもいい勉強。 ひとりひとりが、自分のことばかりでなく、相手のことも少しだけ考える心のゆとりができたら、世の中はずっとよくなる。家族も会社も行政も…。同じこと。私の考えは、なぜにこんなにシンプルなのかと毎回思うが、でもやっぱりそう思えてならない。 人は一人で生きられない存在。これを肝に銘じ 最後に笑ってありがとうといえる「関係」を増やしていければ…。
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