仕事柄、いろんな人との出会いがある。性別、業界、国籍、地域、年代、職種を超えて…。 しかし、この42年間の中でこれほどに印象に残る方との出会いはそう多くはない。 昨年来、アクティブシニア向け雑誌の連載執筆をしている時に、マジック大好き編集長から、師匠なるプロのマジシャンを紹介された。第一印象は、いかにもマジシャンという風貌、しかも潜在的な営業力がおありになるのであろう、初対面の相手に、積極的に話しかけ、ご自身のことを語られ、その会話の中にさりげなくマジックが織り込まれている。日本人は自分の売り込みが下手、引っ込み思案というのがマジョリティであるが、この方は違った。個性豊かで、自分の表現のスタイルをもっておられる。マジックというツールを使い、人の心を溶かし、その場を盛り上げる。天性の芸人魂をもっておられると感じた。たまたまその店にピアノがあった。話の流れで、「私、ピアノも弾きますが」といい、ちょっと鍵盤に触れた。すると、その演奏に合わせて彼は(以下、Mさんという)トランプさばきを始める。それを見ていた編集長とそのお友達。「すごい凄い。ピアノとマジック合ってるやん。」この「瓢箪からコマ」状態の即興的コラボに感動!見ている人だけではなく、やっている本人も感動。正直、マジックとはあまり縁がない人生を送ってきたが、自分のピアノがこのエンターテイメントに合ってしまうとは。Mさんも大変驚かれ、うれしいことに、私めのピアノだとマジックもやりやすいと仰っていただいた。 この瞬間から、Mさんとの世界初?!「マジックライブ」コラボ組が誕生した。Mさんはドンキホーテや、かの有名100円ショップでマジック商品を企画され、大ヒットさせ、またマジックアーチストとしても地元から世界中に、マジック界のネットワークを持ち、日々活動されている。マジックを単に演じるだけでなく、自らが商品開発を担当、メーカーと一緒に営業も。また「ショー」としてのマジシャンとしてだけでなく、地域や施設でのボランティア活動や教室にも意欲的である。そんなMさんとの活動がスタート。最初は出会いの店、赤坂のバーで 月1回のマジックライブ。(店の都合により最近はお休みですが…)さらにマーサ倶楽部IN東京でのメインアトラクションとしてご披露。さらに自分がアドバイザーをしている教材会社に対して、マジックを「教材」として提案できないか、さらに親子の対話の促進機会として、マジックをイベントとして仕組めないかの提案。結果的には教材としての検討も進行し、さらに200名集まる年1回の大会のパーティーでも「脳育にいいマジックショー」と称して出演など、東京、京都での活動が始まった。このような活動が具体化するにつれ、Mさんとの交流はかなり濃密なものになった。お互いが本気であり、前向きであり、負けん気が強いせいもあるのであろう、時には喧嘩になったり、真剣に怒ったことも。思えば、ビジネスでおつきあいする方、しかも親ほど年齢が離れている方に心から怒れたり、怒られたり、驚いたり、また気になって仕方ない…という関係もなかったような。比較的「ほどほど」で済んでしまう人間関係とは違う濃い関係をMさんとは自然に育んだ。Mさんは2回目か3回目かお会いしたときに、ご幼少時代に亡くなられたお母様の写真を持ってこられた。(かなり古い写真なので、セピア色になっていたが、大切にされている写真。フレームに入ったままトランクに入れて持参された)「この写真、マーサさんに似てるでしょう」「はあ?」Mさんにとっては、私が生みの母親の面影にどこか似ていると思ってくださったようだ。人様の人生の歴史に、何か接点や共通点があると、その人との距離感はぐっと縮まるのかもしれない。さらに、Mさんは新潟のご出身。なんとまあ、新潟には今、仕事でどんどんご縁が広がっているのよ・・・ということで、今年のマーサ倶楽部はぜひとも、新潟で、Mさんのふるさと新潟で、Mさんという素晴らしいマジシャンがいるのよ!ということを新潟の仲間たちにお披露目したい…と思いたち、7月8日にいがたマーサ倶楽部を企画、実施した。自分のホームキャンプではない新潟の地でぜひぜひ、新潟出身のMさんとのマジックとミュージックのコラボを演じてみたかった。こんな世界があるのを新潟の仲間に知ってほしかった。 せっかく故郷でマジックするので…ということで、私たちは地元の幼稚園の関係者に働きかけ、幼稚園での七夕のマジックライブを実施した。マジックは大人だけでなく、子供にも喜んでもらえて、楽しいだけでなく気づきと感動を与える素晴らしい教材であることを改めて知った。また、幼稚園でのショーでは幼児におなじみの曲だけで演奏するという勉強もさせていただいた。音楽を変えるだけで同じマジックもターゲット仕様に変身させることができる!という発見である。 さて、マーサ倶楽部インにいがたでの本番。今回は会場に、万代橋が見えるホテルの宴会場を選んだ。その万代橋はMさんにとって思い出の場所だそうだ。幼いころ事故で橋から転落され、奇跡的に生還された…そのメモリアルな場所。そんなお話をお聞きしていたので、ずっと橋のことが脳裏から離れなかった。 ショーの直前にひとことMさんに告げた。「だから、今日ここでやりたかったんです」 そしてショーは始まり、最高に盛り上がった。これまでの何回かの本番のなかで、もっとも心と熱のこもったショータイムであったと思う。そして集まってくださった50名の新潟の方々にも、新潟出身でこんな才能豊かなマジシャンがいることが、十分に伝わったと思う。 さて、人の縁とは何かと思う。やはり磁石のようなものであるかと。いろんな面での引き合いがある。Mさんとは人を楽しませる、人を喜ばせる、まさに「ハッピーコミュニケーション」という面で大いに引き合った。お互いが引きあわねば関係は持続できない。またマジシャンというお仕事をされるMさん、マーケティングとミュージックに関わる自分自身との不思議な接点が新たな世界を生んだ。いつまでも少年のごとく、好奇心をもって活躍していただきたいと思う。マーケティングとはひらめき、接点づくりの積み重ね、そして情熱ある行動ではないか?自分ではそう理解している。人はそれぞれ違う。その違いを認め、そこから共有できる接点が見つけられれば幸せ。 今回の出会いに関して、W編集長をはじめ、Mさんにはもちろんのこと、その周囲の皆様やそのステージづくりに協力いただいている多くの皆様に改めて感謝したい。これからも、ささやかであろうが、幸せの観覧車づくりをいろんなコラボをもって広げていきたい。時代はまさしく「M」の時代。丸く、まろやかに回りましょう。
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