東日本大震災から一年半、そしてあのNYでの同時多発テロからまる11年の9月11日。 昨年から心に決めていた、東北でのチャリティコンサートを行った。 長年お世話になってきた大船渡の知り合いの被災を乗り越える奮闘ぶりを見て、いつかいつか実現したいと思っていたことであった。
お見舞いとして送ったわがCDを毎日、瓦礫のなかの通勤時に聴いていてくださったと いう。「癒されているよ〜、元気にがんばるよ〜」こんなメールを何度もいただいていた。「俺たちも、そろそろ笑いたいと思う頃だから、ね。」この言葉で具体的にこの日の開催を決めたことが記憶に新しい。
この知人、大船渡の村上さんが現地での告知、集客を担ってくださった。東北に地縁・ 知り合いが少ない身としては、本当に伺って良いものかと思っていたが、すべて村上さんが会場手配から、人集めから・・・してくださった。「マーサ、気持ちで来てね。 真心が伝われば充分だからね」とありがたい言葉をいただいた。
当日、大船渡入りし、コンサート前にご案内いただいた大船渡と陸前高田。あの日の悪夢が蘇るような傷跡があちこちに残っている。伐採前最終日の一本松も遠くに見えた。「だいぶ、片付いてきたんだけど、まだまだ・・・」返す言葉がない。ずっしり重い気持ちのまま、会場入りする。
その瞬間、気持ちが切り替わった。会場である蔵ハウスの皆さんが待っていてくださったのだ。明るい笑顔、そして書かれた「歓迎マーサ様」のポスターに心うたれる。
ああ、がんばらねば。リハーサルを終え、本番に。会場である蔵ハウスは老人福祉施設であるため入居者の皆さん、スタッフの皆さん、地域の皆さん、そして東京からの応援団も・・・たくさん集まっていただいた。 そして懐かしい名曲から、オリジナル曲までたっぷり演奏させていただき、その日のために構想していた新曲「レクイエム11」も初演奏。思いを込め、演奏させていただいた・・・。トークやクイズも交え、笑いあり、涙ありで予定の時間を過ぎる。
アンコールでリクエストいただいた。テネシーワルツでは、お客様ご夫婦が懐かしいダンスを舞い、また車椅子に乗られた紳士も見事なステップを披露され、会場が涌いた。
みんなで作った、盛り上げた「まごころコンサート」となった。
たくさんの「ありがとう」をいただき、胸がいっぱいになった。 行ってよかった、やってよかった。村上さん、蔵ハウスの皆さんはじめ地元の皆様や日ごろお世話になっている皆様のおかげで、自分の思いを遂げることができた。
大船渡の地元誌である東海新報にも告知段階、当日の様子も掲載いただき、もったいない気持ちでいっぱいである。私ごときが・・である。
ささやかな試みではあったけれど、音楽は笑いは人々を元気にする・・・そのことが今回も実感できた。応援は、支援は長く、長く・・・。 周囲がずっと応援し続けることで、きっと前以上にパワーアップした町になるだろう。 そうなってほしい。心からそう思った。
最後のこの機会に、14本のバラを届けてくださったTさんに心から感謝したい。「14周年だね。がんばって・・」とこのイベント時にいただいたこと、コミュニケーションクリエイターとしての使命について今1度わが生き方を見直す、背筋が伸びるひと時をいただいた。
こうして生かされているのだから、できることをそれぞれ心をこめてやり切る。 そうすることが、日本を元気にするのではないか。そう思いながら、大船渡にしばしの別れを。感謝をこめて。
(撮影協力 田村 昭様)
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