No.23
私はまだまだ回るから、まだまだ回せるから

投稿者 Mahsa

会社員最後の春、パリでみつけた観覧車。そこから生まれたわが「グラン・ルー」のコンセプト。その発想が生まれたあのチュイルリー宮殿庭園に、またもや あのときと同じ場所に観覧車が・・・。セーヌ川の対岸でそれを発見した私はまるで子どものように、駆け寄った。観覧車は駆け寄るほどに大きくなってくる。
「あった、あった、あった!!!」独立以来、ミレニアムを含めてコンコルド広場では何度も見かけ、ときには乗ってもみたが、この場所でみつけたのはまさに8年ぶり。
「あなたのおかげで、私はここまで生きてこられたのよ」と観覧車に話しかける。思わず抱きしめ頬ずりしたい気持ちで、今にも泣き出しそうである。いざ、乗らん!と列に並ぶ。
券販所にLa Grande Roueを書いてあるのを見て、思わず列に並ぶ人に話しかけたくなる。
今回、設置されたのは、なんと青い空と雲、そしてパリの街がよく似合う白い観覧車。ブラン・ルーともいえる。コテコテデザインのそれは、他の
国や町で見かけるが、これは大人の観覧車だ。
一人で乗るのはさすがに非効率なので、もう一人の単身?者と相席。観覧車に初めて乗ったパリジェンヌ。二人で空を仰ぎパリの街を見下ろし、歓声を上げる。
これが回り続けている間、心の中で、「私はまだまだ回るから、まだまだ回せるから」とずっと観覧車に話しかけていた。
まるで5月の空のように、晴れ渡り、手を伸ばせば雲がつかめそうなパリの7月。わがルーツに出会えた最高の瞬間であった。