昨年秋だったか、台湾から流通関係のお客様を東京から新幹線に乗せてご案内したことがある。
 海外のビジネスマンの多くは、日本への出張といえば、東京、大阪、名古屋・・・といった大都市へ向かう。新潟とは「米」「日本酒」で有名な処と知る機会は増えてはいるものの、出張で訪れることはまだ少ないようである。だから、新潟という町の「生の姿カタチ」を知らない人も多い。彼らは、新潟駅で新幹線を下車、万代橋口を出ると、一斉に「わーっ」と叫んで、突然に駆け出した。ほとんど衝動的である。「今尾さーん。新潟って空が広いですねえ〜〜」この点に彼らはまず全員感動した様子。なるほど、空が広いというのは、人間の心を解放するようだ。都会での商談出張に疲れた彼らを瞬間に癒した様子。そのあと、万代橋ビルで商談を済ませ、展望台に上がる。「川が海につながっている所を初めて見たよ。山も見えてきれいな町ですねえ」。日ごろ東京の高層ビルを訪問することに慣れている彼らにとって、新潟市内の眺望はかなり新鮮だった様子。夜は市内のレストランで新鮮な魚、のっぺ、そして日本酒を楽しむ。お酌をしながら進む食事のテンポもなんとも気分をよくしたようで、「ハオ ツー」(美味しい!)と連呼しながら、楽しいひとときを過ごし、翌日「来る前と来た後の印象が全然違う町ですね。新潟に来られて良かったですよ。みんな優しい。みんな美味しい。また来たいです。」と、こんな感想を残して帰路についた。結果、彼らは新潟の商品を採用し、台湾で販売する運びとなった。商談を成功させた要因のひとつとして、「新潟」での滞在の影響も大きかったようだ。異国から来たゲストには、「新潟の食と『もてなし』」は、都会チェーン店のマニュアル的、効率優先のもの、あるいは有名観光地にある過剰なものとは違い、「普段着の日本、自然体の日本」を体験できる魅力的なものである。日本人である自分にとってもそうだ。新潟出身でない私にとって、最初は台湾の彼らと同様、「新潟はお米・日本酒・雪・・・」というイメージしかなかった。しかし、何度も訪れ、いろんな人に出会い、接することにより、新潟は「私の好きな新潟」になった。何が好きか?それはいろいろある。朱鷺メッセからの眺望も、夕日を浴びて歩く万代橋も、新鮮な魚も、生真面目でやさしい人々も・・・、毎度出張のたびについつい買ってしまうお土産の豊富さも・・・。モノに触れ、人にふれ、気を感じ、そして心が動く。新潟はそんな町である。どこか郷愁に満ち、離れがたい空気を漂わせている。
 「新潟とはこんな町」。と、このアイデンティティは必要であるが、魅力はいっぱいあってよいし、一言で言い尽くせなくてよい。むしろ、訪れた人に、実際体験した人に「新潟って
 いいよ〜〜」と口コミされることが必要なのである。多大な費用をかけて広告をたくさん出すことよりも、ひとりの観光客やビジネス客に「それぞれの新潟」の感動を持ち帰ってもらうことこそが、シティプロモーションとして大切だと思う。
実は、新潟出身でもない私めが新潟市のシティプロモーションのお手伝いをさせていただいていることに今も若干戸惑いがある。新潟ビギナーなのである。まだまだ勉強不足である。新潟の人たちにいっぱい教えていただいている。新潟の人は皆、親切である。
そんな余所者の私にできること。客観的な視点で、自分が感じてるままの新潟の魅力を自分なりに新潟内外へ伝え、広めることである。「外からの目」とは、実はプロモーションには不可欠である。市場を知らずして商品を売ることはできない。私は新潟という「商品」を「市場」に対し、いかに売るか、伝えるかを考え、実践する・・・この視点を大切にしたいと思っている。さらに、シティプロモーションとは「コミュニケーション」のことである。自らが関わり、つないでいこう、もっと新潟の魅力を伝えようという意思の表明であり、その行動である。
日ごろの行動、仕事のなかで、「新潟を盛り立てよう、盛り上げよう」ということをどう具体化、実現していけるのか。ここがポイントである。自分が動かねば相手も変わらない。コミュニケーションの原則は「まずは自分から。そして相手と一緒に」である。
正直いって、新潟の人々は奥ゆかしい。コミュニケーションについては「おくて」?かもしれない。そこもカバーできればと思っている。私なりに新潟の魅力を伝える機会を創り、地元の方と一緒に「新潟」を広く知っていただく働きかけを産業・観光レベル問わず挑戦していきたい。
・ ・・・ところで、新潟駅や新潟空港は、新潟市の玄関ですねえ。構内でベートーベンの
田園などBGMで流してもらえないでしょうか?五感で感じる、安らぎと癒しの新潟をそこから演出するのも大切なコミュニケーション。とまあ、こんな提案も臆せずどんどん仕掛けていこうと思っています。
とりとめのない原稿になりましたが心を込めて書きました。・・大好きな新潟のために、まずは自分ができることを仕掛けていく所存です。今後ともよろしくお願い申し上げます。

〜新潟市シティプロモーションニュースに掲載〜