なぜか震災直前に新潟とのご縁。そして…。

私にとって初めての新潟は大学3年生の夏。青春18キップで日本を周遊したときに立ち寄った、万代橋下の熱い砂浜を今も忘れない。(その砂浜はもう埋め立てられて存在しないが)。また「のっぺ」や「わっぱめし」という珍しい食べ物を知り、美味しいものにたくさん巡り合え、至福のひとときを満喫した思い出が今も残る。
その後、MCEIのツアーで日本酒の蔵元さんたちとフランスのシャンパン工場を一緒に視察したり、何度か取材や講演で訪れることもあり、いつしか私の中の新潟は、「のんべえ」と「美味しいもの」の雪国というイメージで出来上がっていた。
そんな新潟との再縁…。それが「にいがた産業創造機構」との出会いである。新潟県知事が理事長をつとめる財団法人であるが、地元で活躍する印刷会社の紹介により、首都圏で新潟の産業をPRする、あるいは地元の中小企業のコミュニケーション力アップを強化するお手伝いをする…という課題をいただいた。
この話が来たのが昨年の9月末。いよいよ本格稼動というときに悪夢の日がやってきた。
2004年10月23日土曜日。忘れもしない。海外出張からの帰り地下鉄東西線に乗って、長旅の疲れでボーっとしていたら、突然大きな揺れがあった。帰ってテレビを付けると新潟での地震であることを知った。その地震が自分にどれぐらい関係あるのかもそのときは予想できずに、ただ新潟では大変なことになったなあと知りあいに電話やメールを送り続けていた。
幸い、私の仕事先は主に新潟市内であるということで、依頼業務は予定どおり進行。しかし、その後約半年間は多くの予算や資源が震災復旧に当てられることなど、そういった面での影響はこちらにも及ぶ面もあったが、とにかく「いかに被災地がいかに早く復旧できるか」という一点に集中し、新潟県もNICOも各企業も躍起となってがんばり続けたということだけは間違いない。

改めて 新潟で私がお手伝いすること、その意味と役割

先述書いた「財団法人にいがた産業創造機構」(以下NICO)とは、新潟県の産業を活性化するために生まれた組織で、企業の創業・新事業創出から、マーケティング支援、あるいは経営革新・経営改善、さらには国際化支援という軸での活動を行っている。
また産学連携支援も行っており、モノづくりから市場創造、またそれを担う企業の活性化全般をサポートしている。
新潟県には、米や酒だけではなく、それを素材とした加工食品・水産物などの多種多彩な食品から繊維、金型、家具、食器、ナノテク…にいたるまで幅広い産業が発達してきており、その種類の豊富さには驚かされる。日本中のモノづくりのすべてが新潟一県に凝縮されているといっても過言ではない。しかし、そんな事実を知る人は意外に少ない。
「新潟は米でしょ。酒でしょ」一般にはその程度の認識である。というのは、新潟人は、自分たちで何でも作ることができるという自信から「売りにいかなくても買いにくる」。自給自足ができる県。だから困らないから外に伝える必要がない…。そんな気質とそんな恵まれた?歴史から新潟人は「コミュニケーションが得意でない、PRが得意でない」といわれるようにもなったらしい…。(あくまでも新潟の方のお話です)しかしながら、今や国際化社会。いくらモノづくりに長けていても、知られていなければ意味がない。売れるものも売れない。海外との競争に勝てなくなる…。そんな状況からこれからは、新潟の企業はもっとコミュニケーション力を身につけなくては!もっと内外に向けて自らを発信しよう。いいことやっているんだからもっとわかってもらおう。
これも新潟産業の活性化の大切な柱だ!ということで、私がその一端をお手伝いすることになった。

中小企業のコミュニケーション力をアップ! 
NICO主催 広報力アップセミナーを各地で実施!

コーポレーションコミュニケーションにはさまざまな機能や活動が存在するが、まずは基本の広報活動から。
自分たちの存在や活動を知ってもらうということが何よりも企業存続には必要なことである。しかし、中小企業の多くには広報部門などなく、経営者自らが広報マンを兼ねていたり、地元の記者が飲み友達で、たまたま記事になってしまうことをラッキーと思うなどまさに瓢箪からコマを願うようなことが現実である。
そんなことで、もっと中小企業に自らを発信する力を身に付けてもらおうということで始めたのが「実践!広報力アップセミナー」である。広報の専門家ではないが、コーポレートコミュニケーションにおける広報、またはマーケティングコミュニケーションと広報の関わりはこれまでの経験で自分にもそれなりの経験がある。独学で得た知識と経験で手さぐりの講座をはじめた。
  
主なセミナーのプログラム
1. コーポレートコミュニケーションにおける広報とは?(講義)
2. 自分でニュースリリースを書いてみる(実習)
3. 自分で自社の活動、商品をプレゼンしてみる(実習)〜模擬記者発表会〜
4. これからの広報活動について 〜まとめ〜
そして、宿題はニュースリリースの仕上げ。そしてそれを添削するというところまでが1回分のメニュー。

自分でいうのもおかしいが(一番おかしいのは自分が講師であること)約4時間30分の講義が本当にあっという間にすぎる。受講者は話を聞いて、リリースを書いて、プレゼンをして、まとめる。あらゆるコミュニケーションを五感で実践するという講座なのである。
そして、特徴は地元の新聞記者を本当にお呼びしての記者発表会という点である。記者が思いがけぬ質問を浴びせる…という光景もあり大変緊張に包まれた講座となる。
この講座はNICOが運営する「NICOクラブ」という会員組織に登録している会員企業のみが受講できるということになっており、毎回7〜8名の少数制であるが、新潟市で開催し、好評であったため、翌月には長岡市で、そして10月には三条市でも開催ということで、コミュニケーションのサーカスのように私は各地を回り、地域の企業と出会いをいただいている。
受講者との出会いも面白い。なんせ中小企業であるから社長自らが自社製品を持ち寄り、リリースはかけないけど話は得意!という例があったり、今回作成、添削したリリースを実際地元紙である新潟日報に送ったら取材してもらえたという喜びメールが入ったり…。
さまざまな業界の人々が集い、広報を共通の課題としてともに学び、そして交流する。その活動自体が「地べたの広報」であり、新潟企業のコミュニケーション力アップはこんな場面からも可能であると思っている。
これからの新潟企業人の広報力アップに少しでも貢献できればと思うと同時に、このネットワークの和が広がっていくこと自体が新たな新潟パワーになればとも密かに考えている。

経験を生かした防災ビジネスの動き 
〜新潟の企業としての使命に燃えるメーカーを支援〜

広報アドバイザーの仕事は、NICOが取り組む様々な支援活動を広報することも含まれる。最近のトピックスはやはりなんといっても「防災ビジネス」への取り組みである。昨年夏の水害、そして秋の中越震災といった経験を生かし、非常時に役立つ商品やサービスを自らの手で開発し、市場に送り出し、社会に貢献しようというものである。
NICOではこの夏「防災・救災産業研究会」なるものを立ち上げた。新潟で活躍する約40社が会に参加し、ともに災害の経験を客観的に共有し、そこからビジネスヒントを得て、商品開発を行い、市場導入まで実行するというのが狙いで、NICOではそれに伴うマーケティング全般のサポートを行う。
その会員にはゼロから商品を開発する企業がほとんどであるが、なかにはすでに防災用商品を開発し、市場導入をしていたり、また今回の中越震災時に、避難所を含む被災地で被災者の生の声を集め、その声をデータ化し、それを今後の商品開発に役立てようとしている企業もある。
介護食で30年・缶詰の加工業約50年の歴史をもつ(株)ホリカフーズでは、もともと自衛隊用に非常食を提供し続けてきたが、阪神大震災以降「水も火もいらない美味しい非常食〜レスキューフーズ」を開発した。阪神での震災の結果を調査している甲南女子大学によると非常食の代表選手「乾パン」は非常食としては適さないという。水が不足しているときに水がないと呑み込めないものはいかなるものか? 1個は美味しいかも知れないが1食分の食事としてはどうか? 歯が悪いお年寄りに乾パンのような硬いものは? また乾パンは美味しくないぞ。実際、今回の震災時も乾パンよりもおにぎりの方が需要があり、実際に食べられている。また、被災者の方は、「あたたかい食事」を求めている。食事とはまさに非常時にこそ、心身ともに元気を取り戻すべきもの。そんな視点での開発も大切。レスキューフーズにはそんなニーズにも応える工夫がある。
非常時にはすべき仕事がたくさんある。避難所での配給をじっとあてもなく待っている時間はもったいないだけでなく、精神的にもよい状況ではない。そんなときにすぐに美味しく食べられ、元気に復旧活動できるような食事の提供が必要…などなど。確かにこれまでの「非常食」とは全く違う視点で、非常時における食のあり方が提案されている。また今回の中越震災での経験を生かし、さらなる商品を開発中である。
このホリカフーズ以外にもさまざまな企業が防災商品の開発に取り組んでいる。この成果の一部は10月19日〜21日東京ビッグサイトでの危機管理産業展や、2006年2月に横浜国際展示場で開催される防災機器展などでNICOとして出展、紹介・展示を行う予定である。

日本橋三越前にも拠点があります。
「日本橋にいがた館 NICOプラザ」で新潟産業最新情報を発信

新潟企業の活躍をもっと首都圏企業やキーパーソンに知ってほしい。との思いで生まれた「日本橋・にいがた館NICOプラザ」。
ここには、首都圏から全国デビューを目指す新潟企業のためのレンタルオフィスがあり、そこを拠点に提案・営業活動を繰り広げているほか、毎月、新潟の産業をお披露目する各企業のプレゼンテーション、展示会なども開催している。食、家具、繊維、金物、音響機器…新潟産業の最新情報が日本橋に登場する! 
本年1月は震災後の復旧報告と御礼を兼ねた「にいがた酒の陣in 日本橋〜元気です新潟淡麗」といった地酒の試飲即売イベントや、新潟初の国際ブランド「百年物語」の新商品発表会開催、さらには超高圧加工食品展示会、マグネシウム製品新作発表会、桐の魅力展などなど多様なイベントを開催している。
首都圏でマーケティングを実践されているMCEIのメンバーの方にもこの日本橋にいがた館NICOプラザでの新潟産業情報はきっとお役に立ちます。日本橋においでの際には、ぜひとも三越新館前のNICOプラザにお立ち寄りください。
また、各種イベント情報含め、新潟の産業情報がゲットでき、さまざまなイベントにも参加できるNICOクラブの会員も募集中です。地方カンパニーとの連携、エリアマーケティングなどにも役立つ、NICOクラブをどうぞ、みなさまのビジネスにご利用ください。
くわしくは、財団法人 にいがた産業創造機構のホームページをごらんください。 
http://www.nico.or.jp

地方を元気に、日本を元気に、そしてアジアを大元気に!

長々と書いてきましたが、実は新潟ネタはまだまだあります。周囲のおかげできっかけができ、新潟とのご縁が深くなりつつありますが、私は今この地域活性化、地場産業活性化のお手伝いをするなかで、次なる目標に向かってすすんでいます。
1社1社を元気にすること。それが地方の元気の素になる。そしてそれを「意義ある相手」と結ぶ仕掛けを作り、広げる。日本の中の新潟を超え、アジアの新潟、世界の新潟…になるきっかけを仕掛けていきたいと思っています。それが日本の元気に、アジアの元気につながっていくと確信しています。
震災という苦しいつらい経験をバネにがんばっている新潟企業を心より応援し続けたいと思います。
ピンチはチャンスである。彼らとの会話でのキーワードです。