会わねば一生の悔いになる。

「あ、元気かなあ。今度名古屋に引っ越したので、近くになったしね。
会いにいかなくちゃ、元気かなあ、と思って」
と、十数年前ごろに、京都の居酒屋で知り合った金ちゃんのことが気になり、
数年ぶりに突然電話する。
「うわ~、今尾さん相変わらず元気そうで。」
「金ちゃんは?」
「あんまり調子良くなくて。でも、今尾さんと話してたら、元気になってきたわ。」
そして、二人の共通の話題である、今は亡き、居酒屋「明るい農村亭」のマスターの思い出話と
マスターが生前好きだった京都志津屋の名物サンドイッチの話になり、その懐かしさに二人で
大声で笑いあって、
「じゃ、今度京都行ったら連絡するわ」。
と笑って電話を切った。

あれから半年ほどの時間が流れた。
いつでも会えると思いながら、そろそろ行かなくちゃ、と暑さ静まりかけた頃。

知らない番号からのメッセージ。
金ちゃんのご家族からのような文面だ。ちょっと固まりそうになった。
彼女の携帯の履歴をたどってのご連絡のようだ。
「突然すみません。・・・・・金田は9月2日亡くなりました」

頭の中が真っ白になった。
「ああ、しまった~」
先日も京都に行った際に、金ちゃんのことも頭をよぎったのに、
時間がなかったので、次回必ずと思っていたのに・・。

それから、そのご家族らしき方とメッセージを送り合う。
一緒に京都で居酒屋を営んでこられた。
そのお店が開店したころ、一度行ったことがあった。それからご無沙汰してしまった・・。
でも、自分にとっても懐かしい衣笠の店でもあり、
また行かねばとずっと思っていた。

ああ、あと2か月でも前に連絡して、会いに行くべきであった。
本当に悔しい。

どんなことでも、やり直しや修正はできるけれど、
相手が亡くなってしまっては、もう絶対に会うことができない。

こんな気持ちになったのは久しぶりだ。
ずっと「金ちゃん、金ちゃん」と何度も心の中で叫んでみる。
かわいらしい、ぽっちゃっとした顔が浮かんでくる。
調子悪いといっていたのがシグナルだったのかもしれない。
本当に悔しい。

「近いうちに、必ずお店に行きます。ごめんなさい。今ごろ・・」
「ありがとうございます。やつがかいた、手書きのメニューとか
いろいろあるんですよ。見てやっていただけたら、きっと
やつも喜ぶと思います。お待ちしています」

話したことのない人と、亡くなった人を通じて会話しているのも
不思議だ。

金ちゃん。もっと早く会いに行くべきだった。
今は、とても悔しい。

やっぱり、会おうと思ったら、無理してでも会いに行って
おくべきだ。相手がいくつであろうと。

私より年下の金ちゃん、あまりにも 
「あんた、逝くの早すぎやで~。」
金ちゃんが、ニコニコ笑っているような気がした。あかんて。

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