老いて才能を発揮する人。

101歳で、現役の絵描きさんのことを知り、驚いた。
入江一子さんという。
女性版、芸術家版、聖路加病院の日野原先生のように、
現役中の現役だ。
現代版の上村松園といった方が近いかもしれない。

入江さんが描く作品は、シルクロードの風景であったり、ご自身が若き日に
歩いた各地の町、出会った人たちがモチーフ。
色彩豊かに、力強く描かれており、とても100歳を
越えた方が最近書かれた作品とは信じがたいほどに、
若さといきいきとした筆づかいで見る人の目を離さない。

NHKでのインタビューをきいていると、その描かれている
風景は、ご自身が若い日に行ったことのある場所。
そのことを何十年も経った今になって、改めて思い出す。
今になって
くっきりとそのときのことがよみがえってくるのだ
という。
昔の記憶が、今日の作品にそのまま反映されるとは
凄い記憶と想像力、そして創造力だ。

毎日、アトリエと寝室を行き来し、
目覚めては描き、疲れては休み、ふたたび描き始める・・
そんな毎日を過ごしておられるとのこと。
上村松園もそんな半生だったと、読んだことがあったことを
思い出す。

インタビューで泣けることばがあった。
「年をとると、絵がどんどんわかってきて、
かけるようになってくるんですよ。
絵はうまくなるのだけれど、悲しいことに
体力がついていかないのです・・」

老いて、体力が落ちても、「描かなくては」
「書かずにいられない」という
自らの使命感、内側から湧き上がる衝動が
入江さんをキャンバスに向かわせ、絵筆をとらせて
いるのだろう。

まさに神に選ばれた芸術家ともいえる。
描かれた作品は、入江さんの命の結晶だ。
「わたしは生きている」と見る人に
永遠に語りかけてくるようだ・・。
実際に、以前、とある美術館でたまたま
その作品を拝見したときに、
立ち尽くしたことを思い出す。

さて、わが身は。
まだ何にもわかっていない。
体力はまだある。

体力があるのに、もっと突き詰めないと、
100歳過ぎてもがんばっておられる先輩たちに
申し訳ないぞ。

いつまでもお元気に、そして素晴らしい作品を
描きつくして、素敵な人生をお過ごしいただきたい。

高齢化社会のなか、老人のいきざまも多様であるが
どうぜ生きるならば、こちらの方向を目指したい。

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