崖っぷちと、タイムレス。

石岡瑛子さん。
もう亡くなって5年が経つが、久しぶりにNHKで、在りし日の姿を見て
懐かしく思い出す。
一緒にお仕事をしたことはないが、昔、在籍していた会社では石岡さんの
写真集を印刷していたこともあり、担当する編集者から、その名と偉業を
聞き。ただただ、憧れの人であった。

アカデミー賞の衣装部門での受賞後、日本でのそのお祝いのパーティーが
スパイラルビルで開催された。本来そこに伺えるような立場でないが、
上司に連れられ、その場違いな、華やかな場に伺うことができ、
30才そこそこの私は、世界的に活躍する石岡さんを目の前で見る
ことで、大いなる刺激を受けた。
おお、世界のEIKOだ。すごいオーラだ。かっこいい。
と思う一方、石岡さんが日本に住む、お母様(その当時80代ぐらい)
をお招きされ、お母様と一緒にお祝いされていた、あの姿が印象的で
その後、何かあったら親を呼べるぐらいの人にならねばと
真剣に思っていた。
そう、仕事をして親孝行をする。という生き方のお手本は
石岡さんだったかもしれない。

と、久しぶりにテレビで拝見した、石岡さんの生前の姿から
いろんなことが走馬灯のように巡り、ああ、東京ではこんな
感動もあったと懐かしく思えてきた。

オンエアされたインタビューから
「崖っぷちに自分を追い込まなければ、新しい自分は
生まれない。」
と、広告代理店を卒業されるときの自分を語られていた言葉と、
「デザインは、タイムレスでなければならない。」
という言葉が鮮烈に心にささった。

そう、タイムレスなるもの。
このことへの希求が、軽視されているかもしれない、
この現代。
このクリエイターの生き様は、それ自体がまさに
クリエイティブだ。

ああ、おまえもそうしろ。見習え。
と、
石岡さんの在りし日のクールでありながら、情熱的な横顔を見ながら
「崖っぷち」と「タイムレス」の
言葉は何度もよぎった。

残した作品も、石岡さんの生き様もすべてが
タイムレスである。

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