9月といえば、乙女座。女として生まれた以上、なんとなくうらやましい星座月。
私は残念ながらそうではないが、私をこの世に授けた母も妹も、その他お世話になってきた人々にも9月生まれの方が多く、なぜか特別な思いをもって育ってきた。そして、「悔いなき人生」という語呂合わせのような「9月17日」が、私の独立記念日でもある。
思えば4年前の8月に13年勤めた会社を退職したのち、ここから始めた自営業。当時も不景気と言われ、どうしてこんなときに独立するの?食べていけるの? と周囲から言われ続けたが、4年経った今、日本の経済は回復するどころか、当時よりもますます不安定の一途をたどっている。それにも関わらず、何とか自分の目指す「コミュニケーションクリエイター」の道を歩き始め、周りに支えられながら、生きている。いや、生かしていただいている。本当に不思議なことである。
この4年間を簡単に振り返ってみる。
一番、自分にとって大きな成長は『核日本』の活動ができるようになったこと。独立してまもなく台湾の企業のコンサルタントをはじめたおかげで、毎月現地を訪問し、仕事をするという経験を得られた。これは38年の人生のなかで、もっとも予想外で、ユニークかつ貴重な経験であったと思う。
海外の企業のマーケティング力を向上させるという大命題、こんなチャンスが訪れるとは夢にも思わなかった。はじめは手探りであったが、なんとか3年の月日を経て、現地の仕事のやり方にも慣れ、喜んでいただける結果を出すことができた。ここで感じたのは「努力、情熱、一生懸命」という姿は、海を越えても、必ずや相手に伝わるということである。市場の変化、成長に自分がなんらか関わったという事実は、この上なき幸せである。
さて台湾との接点ができたあと、ビジネスのチャンスは上海にも及んだ。近年、多くの日本企業が上海をはじめとした中国に進出しているが、現地でのマーケティング活動のサポートを求められることがある。新商品の新市場導入のお手伝いは、エキサイティングな仕事である。この商品が果たしてこの地で受け入れられるのか?仮説どおりにいく場合もいかない場合もそれぞれであるが、いずれにしても、現地の市場性を意識した展開と『粘り強さ』がとても大切であることを学んだ。作り手の事情ではなく、「お客様に聞け!」これは万国共通の大前提であることを改めて痛感する今日この頃である。
そんなわけで、この4年間には、日本国内だけでなく、アジアをはじめとした各地との接点ができ、自分の世界が広がった。これが一番大きな収穫である。
次いで、いつのまにか、「食」に関する仕事をさせていただく機会が増えたことが挙げられる。コンビニの仕事をするようになり、食の世界への関心が高まった。海外にいく機会が増えると、日本にはない味、調理、香り……を体験でき、また食に対する意識の違いが国民性にも通じていることも発見した。さらに、食の勉強会にも参画させていただき、またレストランでのピアノ演奏を通じ、飲食業の舞台裏を学ぶという貴重な体験もさせていただいた。そんなこんなで、今はフードサービスや飲食業界に関わるマーケティングコミュニケーションの仕事も増えつつある。
自分が生きているアジアをステージに、人が生きていくために不可欠な『食』と『コミュニケーション』の両者を結ぶ仕事に関われたことは、結果的にとても幸せであったと思う。
4年前、こういうステージは自分の前にはなかった……。
ビジネスも人生も瞬間瞬間の真剣勝負であると思う。1年先、5年先は誰にも見えない。
だからこそ、今を生きるしかない。夢をもって今在る課題に取り組めば、道は切り開かれると思って歩いている。
会社員時代には知り合えなかった人、新たに出会えた人がいるが、皆さん同じことをおっしゃる。それは『周囲に対する感謝の念』である。
自分ひとりでは何もできない。周りの方々の支えがあって誰もが生きていける。
ということを以前より、より一層感じることができるようになったと思う。
これは本当に周囲の皆様に感謝したいことである。独立とは、そういうことをきちんと意識するということなのかもしれない。
それと、この4年間いつも感じていたのは、自分というライバルに勝つことが自分を強くするということ。そういう意味では、まだまだ弱いが、他人とではなく、自分自身で完結、納得できる仕事や生きかたをすれば、それこそが『悔いなき人生』なのである。
毎日毎日、そんなことを思う自分との闘いである。
最後に……。生活をするために働くと思うとしんどいが、仕事=人生=喜びと思えば毎日毎日楽しいことが発見できるということも理解できるようになった。
おかげさまで、私は散歩をしていても笑がこぼれることもあるし、いろんな人との出会いも楽しくてわくわくする。そんな日々をおくらせていただいている。
苦しい顔していても、笑っていても明日生きているかどうかわからない人生ならば、毎日一生懸命、楽しく生きればよい。
これが4年間を通過しての『マーサ流わが道』である。
コミュニケーションクリエイターは今後どちらの方向へ進むか。新たなる構想を練って、人生がもっと楽しくなり、そして周囲の皆様と共感・共有できる世界を創りだしたいと思っている。もっと学ばねば。まだ足りない。でも、ひとまず健康であることに感謝、そしてこれまで支えてきてくださった皆様と両親と妹に改めて感謝である。
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